ヒアルロン酸注射の副作用と対処法
手軽にできる美容施術の代表と言っても過言ではないヒアルロン酸注射。顔の様々な部位にヒアルロン酸を注入することで、シワを改善したり、輪郭を形成したりすることができます。手軽にできる施術ではありますが、当然副作用やリスクもあります。ここではヒアルロン酸注射の副作用やリスクについて解説していきます。
白岩 拓巳
経歴
2016年 千葉大学医学部医学科 卒業
2016年 横浜労災病院
2017年 平戸市民病院
2018年 千葉大学医学部附属病院
2019年 千葉労災病院
2020年 大手美容外科クリニック 新宿本院
2020年 大手美容外科クリニック 福岡院 副院長
2021年 大手美容外科クリニック 広島院 院長
2021年 大手美容外科クリニック 銀座院 院長
2022年 ネビュラクリニック 院長
[ CONTENTS ]
ヒアルロン酸注射とは
ヒアルロン酸注射の概要について説明していきます。
ヒアルロン酸注射の効果
ヒアルロン酸はゲル状で高い粘稠性と保水力を持つムコ多糖の一種で、体内で合成と分解が行われます。生体内では関節や目の硝子体、皮膚や靭帯に存在しますが、40歳代を過ぎると急激に減少し始め、皮膚においては弾力や保湿力の低下、シワやたるみの発生につながることがわかっています。
ヒアルロン酸注射ではシワやたるみの気になる部分に注入することで、深くなったシワを目立たなくさせることができます。部位としては小鼻の横や法令線、目の下のtear troughと呼ばれる溝、ゴルゴラインなどが挙げられます。他には、鼻筋や顎の先端に注入することで鼻筋を整える、顎がない人に顎を作るなど、顔のパーツの理想の形状を作ることもできます。額やこめかみの凹んだ部分に注入し丸みを作ったり、唇に注入し唇をふっくらさせたりすることもできます。また、皮膚の浅い層に注射することで皮膚の弾力性、保湿性が増し、ハリのあるたるみにくい皮膚にすることもできます。
効果の持続期間
持続期間は製剤の種類によります。代表的なものとしてはアメリカのアラガン社の製剤であるジュビダームビスタ®︎シリーズのボルベラXCが12か月、ボリフトXCが12-18か月、ボリューマXCが18-24か月、ボラックスXCが18か月以上、韓国のメディトックス社の製剤であるニューラミス®︎シリーズのニューラミスライトリドカイン、ニューラミスリドカイン、ニューラミスディープリドカイン、ニューラミスボリュームリドカインは8-12か月です。
効果を長持ちさせる方法
効果を長持ちさせる方法としては、一つは持続期間の長いヒアルロン酸を注入することです。ヒアルロン酸には持続期間や硬さが異なる様々な製剤がありますが、持ちを重視する方は持続期間が長い製剤を選ぶと良いでしょう。もう一つは、定期的にメンテナンスすることです。繰り返し注入することで、吸収が遅くなり効果が長持ちすると言われています。
治療をやめたらどうなるのか
ヒアルロン酸注入はメンテナンスをしないと、注入したヒアルロン酸が徐々に体内に吸収され元の状態に戻っていきます。治療後はヒアルロン酸によってボリュームが出ていた部分のボリュームが失われるため老けたように感じる方もいます。しかし、あくまで元の状態に戻るだけです。
ヒアルロン酸注射の副作用
ヒアルロン酸注射は手軽にできる施術ですが、副作用もあります。施術を受ける際は事前に副作用について理解しておく必要があります。不明な点は医師に質問して、納得の上で施術を受けましょう。
内出血
ヒアルロン酸注入は注射針を用いて行うため、内出血が起こるリスクがあります。
通常は針穴程度の内出血で、長くとも数日で消失します。部位によってはカニューレを用いて、針で刺す回数を減らすなどの工夫をしています。
腫れ・むくみ(浮腫)
注入した部位に腫れや浮腫みが出るリスクもあります。通常は3-4日程度で治ってきます。擦ると症状が悪化する可能性があるため、気になっても患部を刺激するのは控えましょう。また、入浴や激しい運動、飲酒などの血行が良くなる行為も浮腫みが悪化する原因となりえます。施術後数日はなるべく安静にするのが良いでしょう。
痛み・違和感
ヒアルロン酸注入は鋭針という通常の針やカニューレと呼ばれる細い管で注入しますが、その際にチクッとした痛みやカニューレが皮膚に入っている違和感があります。ちくっとした痛みが苦手な方は局所麻酔の塗り薬や貼り薬、笑気麻酔などを使用すると良いでしょう。また、ヒアルロン酸製剤の中に局所麻酔薬が含まれているため、最初は痛みがあったとしても、徐々に和らいではきます。麻酔が切れてくるまで数時間かかるため、部位によってはしばらく違和感が続く場合もあります。
チンダル現象(肌にヒアルロン酸が透けて見える)
チンダル現象というのは注入した皮下のヒアルロン酸が透けて皮膚が青みを帯びたように見える状態のことを言います。目の下など皮膚の薄い部位の処置で起こりやすいです。チンダル現象になってしまった場合はヒアルロニダーゼという薬剤を用いて注入したヒアルロン酸を溶かす処置を行う必要があります。
しこり
ヒアルロン酸を注入した部位にしこりを形成することもあります。ヒアルロン酸の注入する深さや製剤の種類が適切ではなかった場合に起こりえます。また、適切に注入したとしても人によっては体内の異物反応でしこりとなる場合もあります。他には注入したヒアルロン酸が被膜に覆われる場合もあり、そうなるとしこりとなった状態で溶けずに長期間その部位に留まる場合もあります。
感染
稀ではありますが、ヒアルロン酸を注入した際にバイオフィルムという細菌の膜が形成され感染する場合があります。免疫力の低下した方や糖尿病の方、副鼻腔炎や慢性扁桃炎のような慢性的な病巣感染がある方は感染しやすいため注意が必要です。感染した場合は抗菌薬による治療が必要になります。治療中のご病気がある方や薬を内服している方は必ず事前に医師に申告するようにしましょう。
アレルギー反応
ヒアルロン酸はもともと体内にある物質のため、アレルギー反応が生じる可能性は低いです。それでも稀に起こる可能性があります。蕁麻疹、痒みの症状が出るため、その場合アレルギーに対する治療が必要となります。治療後すぐに出る場合もありますし、1週間前後で出る場合もあるため注意が必要です。症状が出た場合は速やかに医師に相談するようにしましょう。
血管閉塞(失明のリスク)
ヒアルロン酸注入において最も回避したい合併症は血行障害です。注入したヒアルロン酸が主に細い動脈に詰まることによって血行障害が起こることがあります。人の体は動脈によって組織に血液が運ばれ、静脈やリンパ管を通って血液が戻ってきます。血液の供給経路である動脈が詰まってしまうとそこより先の組織に血液が行き届かなくなり血行不全の状態となります。
軽度の場合は皮膚表面の皮むけ程度で済むこともありますが、重症の場合は組織の壊死が起こる可能性があります。この場合もヒアルロニダーゼを注入するなどの対応が必要となります。
ヒアルロン酸注射のデメリット
ヒアルロン酸注射にデメリットにはどんなものが挙げられるでしょうか。ここではデメリットについて解説していきます。
仕上がりが左右非対称になる可能性
仕上がりが左右非対称になったり、入れる層が浅すぎてボコついたりするリスクがあります。元々の骨格や筋肉・脂肪のつき方は人によって個人差がありますし、個人の中でも左右差があります。そのため、左右で入れる量や深さを調整する必要があります。これは施術する医師の経験によるものが大きいため、経験豊富で技術力のある医師に施術してもらうのが良いでしょう。
表情が不自然になる可能性
表情が不自然になる可能性もあります。これは注入量が多すぎる場合が多いです。基本的には適切な注入量にすれば問題はないのですが、クリニック側がお金儲けのために大量のヒアルロン酸を注入することを提案してきたり、患者側が購入した分のヒアルロン酸を使い切るために適量を超えて注入するように指示してきたりする場合に起こりえます。部位に応じて適切な注入量はある程度決まっており、慣れないうちは注入量は控えめにしておいた方が良いでしょう。
効果は永遠ではない
先述した通り、ヒアルロン酸は注入後から徐々に体内に吸収され最終的にはなくなってしまいます。製剤によって持続期間が異なりますが、効果を維持するためには定期的なメンテナンスが必要です。
ヒアルロン酸注射に依存するケース
ヒアルロン酸を打ちすぎると、ヒアルロン酸注入に依存してしまうこともあります。ヒアルロン酸を打つ回数が多いと、ヒアルロン酸を注入した後の顔に見慣れてしまい、小さな変化では満足できなくなる場合があります。その場合、より変化を感じるために注入量を増やしたいと思ってしまいます。また注入箇所の変化に敏感になり、少しでも変化があればすぐにヒアルロン酸を打ちたいと思ってしまうようになります。いわゆる「ヒアル顔」と呼ばれる整形感のある不自然な顔になるリスクが高くなります。そうならないために注入量は控えめにして、施術前後の写真を撮るなどして客観的に自分の顔を評価すると良いでしょう。
ヒアルロン酸注射のリスクを避けるためのポイント
ヒアルロン酸注射のリスクとそれを避けるためのポイントをお話しいたします
複数のクリニックでカウンセリングを受ける
美容クリニックでは施術の前にカウンセリング、診察がありますがカウンセリングは複数のクリニックで受けて比較検討すると良いでしょう。実際に施術を行う医師が要望に沿った施術内容を提案してくれるかどうか、実際に施術した症例が好みに合うかどうかを確認してから施術を受けるかどうかを決めることが望ましいです。
副作用のリスクについて説明してくれる医師に依頼
施術のメリットだけでなく、デメリットも説明してくれるクリニックや医師を選ぶことも大切です。施術の副作用やダウンタイムについては診察を受けた際に必ず質問し、理解した上で施術に臨みましょう。
体質やアレルギー・既往歴について事前に伝える
ヒアルロン酸に対するアレルギー反応は稀ですが起こる可能性はゼロではありません。過去にヒアルロン酸注入で何らかの症状が出現した場合は診察の際に必ず申告しておきましょう。他にも、治療中の病気や飲んでいる薬があれば事前に申告しましょう。
アフターフォロー対応を確認する
ヒアルロン酸注入に限らず美容施術は副作用が起こるリスクがあります。施術後、何らかのトラブルが起こった際にアフターフォローが受けられるかは事前に確認しておきましょう。
ヒアルロン酸注射を受けられない人の特徴
ヒアルロン酸注射を受けられない人の特徴について解説していきます。
妊娠中または妊娠の可能性がある人
ヒアルロン酸製剤の妊娠中の安全性が確立していないことや注入による刺激やストレスが妊娠に及ぼす影響が否定できないことから、妊娠中の方や妊娠の可能性がある方には施術をお断りさせて頂いております。また、ヒアルロン酸製剤には局所麻酔薬が含まれており、局所麻酔薬も通常量の使用量では問題ありませんが、大量投与で催奇形性があるという動物実験の報告があるため、妊娠初期は避けておくのが望ましいです。
授乳中の人
授乳中の方へのヒアルロン酸注入自体は問題ありませんが、注入後48時間は断乳して頂く必要があります。そのため、授乳中の方に施術を行うことは基本的には推奨しておりません。どうしても施術を受けたい方は医師に相談するようにしましょう。
免疫人が低下している人
HIV感染症の方、重度糖尿病の方、肝硬変の方、免疫抑制剤を内服中の方はヒアルロン酸注入による感染のリスクが高いため、慎重に判断する必要があります。施術を行うかどうかは医師と相談して決めましょう。
ヒアルロン酸注射についてのよくある質問
ヒアルロン酸注射についてよくある質問について回答していきます。
ヒアルロン酸注射は打ち続けるとどうなる?
ヒアルロン酸注入は時間経過によって体内に吸収されるため、打ち続けても基本的には問題ありません。ただ、不自然な顔になるのを避けるためには適切な注入量と適切な間隔を守ることが大切です。
定期的に自分の顔の写真を撮るなどして、客観的に評価できるようにしておくと良いでしょう。
ヒアルロン酸注射後にやってはいけないことは?
患部のマッサージは避けた方が良いです。ヒアルロン酸が馴染むまでは1週間程はかかるため、その間はなるべく触らないようにしましょう。また、患部の腫れや内出血が起こりやすくなるため、血行が良くなるような行動(激しい運動、長湯、サウナ、飲酒など)は数日間は避けた方が良いでしょう。
翌日は会社を休まなきゃいけない?
結論、休む必要はありません。施術直後から化粧は可能ですし、内出血や腫れ、違和感が出る場合もありますが日常生活に支障のない程度のものです。外科的な施術とは違ってダウンタイムの心配がないのはヒアルロン酸注射の大きなメリットです。
施術中や術後の痛みについて
注射針で刺すため、ちくっとした痛みや注入した部位に違和感が出ることがあります。痛みが苦手な人は局所麻酔の塗り薬や貼り薬を使用することもできるので医師に相談すると良いでしょう。
ヒアルロン酸注射をするならネビュラクリニックにお任せください
ここまでヒアルロン酸注入の副作用やリスクを中心にお伝えしてきましたがいかがだったでしょうか。ヒアルロン酸注入の仕上がりは医師の技量に大きく左右されるため、医師選び、クリニック選びが非常に重要になってきます。ネビュラクリニックではヒアルロン酸注入の症例数が非常に多く、経験豊富な医師のみが施術を行っております。ヒアルロン酸注入によるシワの改善や輪郭形成をお考えの方は是非一度ネビュラクリニックにご相談ください。
関連するコラム
岩切琢磨
Takuma Iwakiri
経歴
2016年 熊本大学医学部医学科 卒業
2016年 医療法人財団 荻窪病院
2018年 昭和大学病院 皮膚科学講座
2019年 昭和大学江東豊洲病院 皮膚科
2024年 ネビュラクリニック 東京錦糸町院 院長
所属学会・資格
日本皮膚科学会
日本美容皮膚科学会 正会員
日本美容外科学会(JSAS) 正会員
日本抗加齢医学会 正会員
日本専門医機構認定 皮膚科専門医
ボトックスビスタ® 認定資格医
ジュビダームビスタ® 認定資格医
ジュビダームビスタ®バイクロス 認定資格医
術集会演題発表歴
1. | 岩切琢磨、井藤遥、小野蘭、猿田祐輔、渡辺秀晃、末木博彦(昭和大)、山下太郎、安東由喜夫(熊本大神経内科):結節性皮膚アミロイドーシスの1例.日本皮膚科学会第879回東京地方会(2018.6) |
2. | 岩切琢磨、田代康哉、張田修平、岩井信策、渡辺秀晃、末木博彦:好酸球性環状紅斑の1例. 第82回日本皮膚科学会東京支部学術大会(2018.12) |
3. | 岩切琢磨、新屋光一朗、北見由季、渡辺秀晃、末木博彦:手指に限局したWells症候群の1例. 日本皮膚科学会第883回東京地方会(2019.2) |
4. | 岩切琢磨、石橋智、山内輝夫、永田茂樹:萎縮性皮膚線維腫の1例.第84回日本皮膚科学会東京支部学術大会(2020.11) |
5. | 岩切琢磨、山内輝夫、須永知里、永田茂樹:潰瘍性大腸炎の診断に至った下腿の壊疽性膿皮症の1例.日本皮膚科学会第898回東京地方会(2021.10) |
6. | 岩切琢磨、山内輝夫、須永知里、永田茂樹:粉瘤嚢腫壁より生じたと考えられた基底細胞癌の1例.日本皮膚科学会第900回東京地方会(2022.2) |
7. | 岩切琢磨、山内輝夫、須永知里、永田茂樹:先天性三角形脱毛症の1例.日本皮膚科学会第901回東京地方会(2022.5) |
8. | 岩切琢磨、山内輝夫、須永知里、永田茂樹:Gorlin症候群の1例.日本皮膚科学会第902回東京地方会(2022.7) |
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