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30代の糸リフト|自然な引き上げで見た目を整える選び方と注意点

30代の糸リフト|自然な引き上げで見た目を整える選び方と注意点

「疲れて見える」「頬がやや下がってきた気がする」「昔よりフェイスラインがぼやけてきた」――こうした30代特有のお悩みの多くは、急激な“たるみ”というより、皮膚や靭帯の支えが少しずつ弱くなり、ボリュームの位置がわずかに下がることで生じます。

この“わずかな変化”の段階で有効なのが糸リフトです。メスを使わずに、コグ(トゲ)やアンカー付きの糸を用いて、フェイスラインや口元周りの影を自然に整えることで、周囲に気付かれにくい、さりげない若返りを目指せます。

本記事では、30代に合った糸の選び方から施術の流れ、ダウンタイム、安全性、他治療との使い分けまでを、初めての方にも分かりやすく解説します。

白岩 拓巳
editor chief
[監修者] ネビュラクリニック ネビュラクリニック 統括院長/代表

白岩 拓巳

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経歴

2016年 千葉大学医学部医学科 卒業
2016年 横浜労災病院
2017年 平戸市民病院
2018年 千葉大学医学部附属病院
2019年 千葉労災病院
2020年 大手美容外科クリニック 新宿本院
2020年 大手美容外科クリニック 福岡院 副院長
2021年 大手美容外科クリニック 広島院 院長
2021年 大手美容外科クリニック 銀座院 院長
2022年 ネビュラクリニック 院長

30代が糸リフトを検討する理由と期待できる効果

表情を保ちながらたるみを軽減する仕組み

糸リフトは、コグやアンカーが付いた吸収性の糸を、皮下組織やSMAS浅層といった“支えの層”に通し、下がり始めた組織を本来の位置へそっと戻す治療です。

糸が内部で支柱の役割を果たし、物理的に引き上げるだけでなく、その周囲でコラーゲンが新生されることで、時間の経過とともにハリ感や引き締まりも期待できます。

筋肉そのものを固定するわけではないため、笑ったときや話しているときの表情が不自然に引きつる心配は少なく、日常生活の中で「なんとなく若々しく見える」自然な変化を出しやすいことが、30代に糸リフトが選ばれる大きな理由です。

30代で得られる主な変化

30代での糸リフトは、「劇的な別人級の変化」よりも「疲れ感が抜けて整って見える」ことに価値があります。

フェイスラインでは、もたつきや軽度のブルドッグラインがすっきりし、輪郭の下端がクリアになることで横顔や斜めから見た印象が引き締まります。中顔面では、頬のボリュームが下方向・外側に流れていたものが、やや上方・内側に戻ることで、正面からの立体感が自然に復活します。

ほうれい線やマリオネットラインについても、「線そのものを消す」というより、影を作っていた組織の位置を整えることで、メイクで隠しやすい柔らかな印象へと近づけていきます。

まだ皮膚の弾力が保たれている30代では、適切なデザインと本数を選べば、少ない介入でも効果を実感しやすく、持続も良好な傾向があります。だからこそ、過剰な引き上げではなく、「軽やかに整える」ことがポイントとなり、周囲に気付かれにくい自然な変化に満足される方が多い世代です。

糸リフトの種類と30代に向く糸の特徴

溶ける糸(PDO・PCL等)と吸収速度の違い

糸リフトに用いられる糸は、大きく「溶ける糸(吸収性)」と「溶けない糸(非吸収性)」に分かれます。30代では、将来の再施術もしやすく、合併症リスクも比較的抑えやすいことから、溶ける糸を選択するケースが主流です。

PDO(ポリジオキサノン)
おおよそ6〜10か月で体内に吸収されますが、その過程でコラーゲン生成が促されるため、実際のリフト感は約1年前後続くこともあります。糸自体に適度なハリがあり、初めての糸リフトや軽度のもたつきに向いており、「イベント前に自然に整えたい」「まずは試してみたい」という方に相性が良い素材です。

PCL(ポリカプロラクトン)
12〜18か月以上かけてゆっくりと吸収され、より長い持続を目指せる設計です。質感はしなやかで、引き上げた位置をキープしやすく、「せっかくやるなら持続も重視したい」「緩やかに引き締め効果を感じたい」という30代の方に適しています。

PLLA(ポリL乳酸)
コラーゲン誘導効果に優れ、中〜下顔面をしっかり整えたい場合の選択肢となります。

30代では、PDOで軽く整えるのか、PCL・PLLAで持続性を重視するのかが一つの判断軸になります。同じ年齢でも、肌質、皮膚の厚み、噛みしめの癖、寝姿勢、体重変動などにより適した糸が変わるため、「素材の特徴」と「自分の生活スタイル」を踏まえて医師と相談しながら選ぶことが大切です。

引き上げ方(アンカー型・コグ型・リフトアップデザイン)の違い

糸リフトは、素材だけでなく「どう引き上げるか」によっても仕上がりがまったく変わります。

こめかみ付近などに固定点を取り、そこから糸を伸ばして牽引するアンカー型は、しっかりとした支えが得られやすく、持続力が期待できるデザインです。これに対して、糸全体に多数のコグ(トゲ)が付いたタイプは、そのコグが皮下組織に噛み合うことで面として支えを作り、自然な引き上げと微調整に優れています。

さらに重要なのが、糸の「走行」と「深さ」をどうデザインするかです。こめかみから頬、フェイスラインに向けて斜め上に引くだけでなく、中顔面のボリューム位置を意識して前方・上方に支えるラインを設計することで、“若い頃の立体感”を再現しやすくなります。

30代では、無理に外側へ強く引っ張ると「不自然」「やりすぎ」の印象につながりやすいため、前方支持を組み合わせた繊細なデザインが重要になります。

施術の流れと当日の過ごし方

カウンセリング〜麻酔〜挿入〜固定までのステップ

施術はまず、カウンセリングから始まります。正面・斜位・側面といった複数方向の視点で、どこにたるみが出ているのか、どの表情で下垂が目立つのかを医師と一緒に確認し、その方の骨格や左右差を踏まえたうえで、理想とする仕上がりのイメージをすり合わせます。

そのうえで、糸の本数や種類、走行ルート、挿入する層(皮下〜SMAS浅層)を設計します。30代では、過度な外側牽引を避け、将来の追加治療の余地を残しながら、必要最小限の本数で最大限の効果を狙うデザインが理想的です。

麻酔は通常、表面麻酔と局所麻酔を併用します。刺入部と糸の通り道に丁寧に麻酔を効かせることで、施術中の痛みを最小限に抑えます。実際の挿入時には、鈍針カニューレや多方向コグ付きの糸を用い、皮膚表面に凹凸が出ない深さを狙って通していきます。鏡を見ながらバランスを確認し、その方の表情や輪郭に合う位置で固定を行い、最後に刺入部を清潔に整え、必要に応じて短時間の圧迫で内出血を抑えます。

ダウンタイム・腫れ・当日〜1週間の注意点

施術当日は、刺入部を避ければメイクが可能な場合も多く、日常生活に大きな支障をきたさないケースが一般的です。ただし、大きく口を開ける動作や硬いものを噛む行為は、糸への負担となるため控えめにし、仰向けでの就寝を意識します。

24〜72時間の間は、軽い腫れや突っ張り感、口元に違和感を覚えることがありますが、多くは一時的なもので、保冷剤などを用いた適度な冷却と安静で落ち着いていきます。入浴は当日はシャワー程度から始め、長風呂やサウナなど体を温めすぎる行為は数日間避けると安心です。

1週間ほど経つと内出血が目立たなくなり、人前でもほとんど気にならなくなる方が多くなります。この間は、顔のマッサージや強く押し流すようなクレンジング、エステ、激しい運動など、糸に負荷のかかる行為は控えることが推奨されます。

1か月ほど経過すると、違和感はほぼ解消し、コラーゲン新生が進行して輪郭の質感が安定してくる時期です。飲酒やサウナは術後すぐでは腫れを助長しやすいため、少なくとも最初の数日は控えるのが無難です。スキンケアについては、刺入部を清潔に保つことを最優先し、摩擦を避けながら、UVケアやビタミンC配合化粧品で色素沈着の予防を意識するとよいでしょう。

仕上がりを左右するポイントと安全性対策

デザインの見極め

30代の糸リフトを成功させる鍵は、「たるみを持ち上げる」以前に、「これ以上下がらせないポイント」を見極めることにあります。ジョールラインやマリオネットラインの起点となる部分を、糸でピン留めするように支えることで、重力方向へのズレを抑える“下げ止め”の役割を果たします。

同時に、頬の前方から中顔面にかけて、ほんの少し前向きの厚みを戻すことで、若い頃のような立体的な印象が自然に再現されます。本数は「多ければ安心」というものではなく、その方の骨格とたるみの程度に合わせて最小限に抑え、必要であれば数か月〜1年後に追加できる余白を残しておくことが、長期的に見ても美しい経過につながります。

また、糸を通す層が浅すぎると凹凸や毛穴の目立ちにつながり、深すぎると十分なリフト効果が得られません。解剖学的な理解と実績に基づいた「層のコントロール」が、デザインと同じくらい重要なポイントとなります。

合併症の兆候と早期対応

術後に起こりうる反応として、内出血や腫れは比較的よく見られますが、多くは数日から1週間程度で自然に軽快していきます。左右差や軽いひきつれ感も、腫れや組織のなじみの過程で一時的に感じられることがありますが、時間とともに落ち着いていくケースがほとんどです。

注意したいサインは、赤みや痛みの増悪、熱感、膿のような分泌物など、感染を疑う症状です。このような場合は自己判断で様子を見るのではなく、施術を受けたクリニックに早めに相談することが重要です。また、強い違和感やしびれが長く続く場合、糸の露出や明らかな凹凸などが現れた場合にも、早期の診察と必要に応じた調整・処置が求められます。

安全性を担保するうえで最も大切なのは、施術前の丁寧な説明と、施術後も相談しやすいフォロー体制が整っているかどうかです。清潔操作や解剖学的な理解はもちろんのこと、トラブルが起きた際に責任をもって対応してくれるクリニックを選びましょう。

30代で糸リフトを選ぶときの他治療との比較

ヒアルロン酸やボトックスとの使い分け

30代の顔まわりの変化は、「位置のズレ」と「ボリュームの不足」と「筋肉の動き」の組み合わせで起こります。糸リフトは主に「位置」と「支持」を整える治療であり、こけ感や輪郭のメリハリ不足など“中身の足りなさ”にはヒアルロン酸が、エラ張りや顎下のもたつきに関わる強い噛みしめにはボトックスが有効です。

例えば、糸で頬やフェイスラインを持ち上げたうえで、顎先やこめかみにヒアルロン酸を少量加えることで、横顔のEラインや正面のバランスが整いやすくなります。また、咬筋が発達してフェイスラインが横に広がっている方には、ボトックスで噛みしめを和らげることで、糸の効果が生かされやすい“土台”を作ることができます。

HIFUやタイトニングレーザーは、皮膚のハリやキメをサポートし、糸後のメンテナンスとして併用することで、長期的なエイジングケアの一翼を担います。このように、「糸=位置」「ヒアルロン酸=形」「ボトックス=動き」「HIFU・レーザー=肌質」という役割を整理し、必要な要素だけを組み合わせることで、“やりすぎ感のない自然な若見え”を実現しやすくなります。

切開リフト(外科手術)が適するケースとその判断基準

切開リフトは、余剰皮膚を実際に切除し、内部構造も含めてしっかり引き上げる外科的治療です。適応となるのは、皮膚や脂肪の下垂が中等度〜高度で、首から下顔面にかけて明らかなたるみがある場合や、長期的な持続を最優先したい場合、過去に複数回糸リフトを行ったものの満足できる効果を得られなかったケースなどです。

判断のポイントは、「引き上げたときに余る皮膚をどこへ逃がすか」という視点です。糸だけでは処理しきれない明確な余剰皮膚がある場合には、切開を伴う手術のほうが理にかなっている場合があります。

ただし、30代では多くの方がまだ非切開治療の適応範囲であり、糸リフトやヒアルロン酸、HIFUなどを組み合わせることで十分な満足度を得られることがほとんどです。将来の外科的治療を見据えつつ、現時点で最も負担の少ない選択をするという考え方も有効です。

施術前に確認すべきこと

カウンセリングで伝えるべき希望と確認項目(写真・左右の差・生活習慣)

カウンセリングの段階で、「なんとなく上げたい」ではなく、自分が特に気になっているポイントを言語化しておくことが大切です。フェイスラインをすっきりさせたいのか、ほうれい線の影を和らげたいのか、口角周りのもたつきを軽くしたいのか、中顔面の立体感を戻したいのか。優先順位を整理することで、糸の本数や配置に明確な意図を持たせることができます。

また、施術前に撮影する写真は、正面だけでなく斜め・側面・下からの角度も記録しておくことで、変化を客観的に確認しやすくなります。眉や目、口角の高さの左右差、頬骨の張り、歯並びや噛み合わせなど、その人本来の非対称性についても医師と共有し、「どこまで整え、どこを個性として残すのか」をすり合わせておくと、仕上がりへの納得感が高まります。

生活習慣も重要な判断材料です。うつ伏せ寝や横向き寝、強い歯ぎしりや食いしばり、激しいスポーツ習慣がある場合、糸への負担や持続期間に影響することがあります。術後1〜2週間に大事なイベントや旅行の予定がないかも含めて、スケジュールを確認しておきましょう。

既往歴や内服薬、サプリメント、アレルギー歴も必ず伝えるべき情報です。血をサラサラにする薬や一部サプリは内出血リスクに関わるため、医師の指示に従い調整が必要なことがあります。さらに、費用や本数、必要になった場合の追加施術の扱いなどについても、事前に具体的な説明を受けておくと安心です。

まとめ

30代の糸リフトは、「老けた印象を劇的に巻き戻す治療」というより、「将来のたるみを見据えながら、今のうちに自然に整えておく治療」と捉えるとイメージしやすくなります。

PDOはお試しでしたい方に、PCLやPLLAは持続を重視したい方に向いており、適した素材選びとデザイン設計が満足度を左右します。成功の鍵は、「下げ止め」と「前方支持」を意識したデザインと、層の正確なコントロールです。数日〜1週間程度のダウンタイムを想定し、生活習慣やスケジュールを整えることで、より安定した結果が得られます。

さらに、ヒアルロン酸やボトックス、HIFU・レーザーなどと目的に応じて組み合わせれば、最小限の介入で最大限の効果を引き出すことが可能です。

施術を検討する際には、「本数や価格だけ」で選ぶのではなく、解剖学的な説明が丁寧で、症例の提示が分かりやすく、合併症への対応や術後フォローの体制が整っているクリニックかどうかを確認しましょう。不安な点は遠慮なく質問し、納得したうえで治療に進むことが、30代の糸リフトを“自然で賢い選択”にするための何よりの条件です。

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この記事を監修したドクター
都築諒

都築 諒

Ryo Tsuduki

経歴

愛知県立岡崎高等学校 卒業
山梨大学医学部医学科 卒業
日本赤十字社医療センター 消化器外科
相模原赤十字病院 消化器外科
大手美容外科 技術認定医
愛知春日井美容外科ネビュラクリニック 院長

学会発表

胆管癌の化学療法中に発症したニューモシスチス肺炎の1例
(第373回日本消化器病学会 2023.2)
 ○都築諒1)、井上薫1)、福田麟太郎1)、伊藤由紀子1)、坂本慶太2)、北原愛弓1)、髙橋健太郎1)、中田史子1)、鈴木裕史1)、山本信三1)、内野康志1)、谷口博順1)、出雲雄大2)、吉田英雄1) 
1)日本赤十字社医療センター 消化器内科 2)同 呼吸器内科

資格・研修

がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会 修了
ジュビダームビスタ®︎ハイラクロス+バイクロス認定資格医

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