ヒアルロン酸注入の血管塞栓とは?失明や壊死を防ぐ初期症状と緊急時の対処法
ヒアルロン酸注入は手軽なプチ整形として人気ですが、ごく稀に「血管塞栓」という重篤な合併症を引き起こすリスクがあります。失明や皮膚の壊死を防ぐために絶対に知っておくべき初期症状と、早急な対処法を解説します。
今まさに注入後の激痛・皮膚の蒼白や網目状の変色・視力の異常がある方は、この記事を読み進める前に、施術を受けたクリニックへ直ちに連絡してください。他院で施術を受けた後のトラブルのご相談は、ネビュラクリニックの他院修正・他院抜糸外来でも受け付けています。
この記事は、ネビュラクリニック錦糸町院院長・皮膚科専門医の岩切 琢磨医師の監修のもと、血管塞栓の仕組み・見逃してはいけないサイン・緊急時の対処・安全なクリニックの選び方を順に解説します。
[ CONTENTS ]
1. ヒアルロン酸注入における「血管塞栓」とは?

「手軽にシワを改善したい」「鼻筋をすっきり見せたい」といったご希望を叶えるヒアルロン酸注入は、ダウンタイムが短く非常に人気のある施術です。しかし、どれほど身近な施術であっても、私たちが医療に従事する以上、絶対に軽視してはならない重大なリスクが存在します。それが「血管塞栓(けっかんそくせん)」です。
誤って血管内にヒアルロン酸が注入され、血流が止まってしまう状態
血管塞栓とは、注射針やカニューレから注入されたヒアルロン酸製剤が、誤って顔面の動脈内に直接注入されたり、周囲からの圧迫によって動脈を塞いでしまったりする現象を指します。
私たちの顔には、網の目のように細い血管(動脈)が張り巡らされています。動脈は組織へ酸素や栄養を運ぶ大切な役割を果たしていますが、その内部に固形物であるヒアルロン酸が流れ込むと、まるで水道管に栓をしたように血流が完全にストップしてしまいます。血流が途絶えた部位は一瞬にして酸欠状態に陥り、組織の機能が損なわれていくのです。
放置すると皮膚の壊死や、最悪の場合は失明に至る危険性
血流が止まった状態をそのまま放置してしまうと、時間の経過とともに周辺の細胞が死滅し、皮膚が黒く壊死してしまいます。壊死した皮膚は跡(瘢痕)として残ってしまい、元のきれいな状態に戻すことが極めて難しくなります。
さらに恐ろしいのは、お顔の動脈が「目の奥の血管(眼動脈)」と繋がっている点です。注入されたヒアルロン酸が血流の圧力や逆流によって眼動脈に入り込むと、網膜への血流が途絶え、最悪の場合は「失明」という取り返しのつかない重篤な後遺症を引き起こします。血管塞栓は、一刻の猶予も許されない救急疾患であることを理解しておく必要があります。
2. 絶対に見逃してはいけない血管塞栓の「初期症状」

私自身、これまで数多くの患者様のカウンセリングや処置を行ってきましたが、血管塞栓の治療において最も重要なのは「いかに早く気づき、初期段階で対処できるか」だと痛感しています。患者様ご自身が「いつもと違う」という異変のサインを知っておくことが、大切な命や身体を守る安全策となります。
注入中または直後の「異常な激痛」
ヒアルロン酸注入では、針を刺す際のチクッとした痛みや、注入時の軽い押圧感・鈍痛は正常な範囲内です。しかし、血管内に誤注入された場合は明らかに異質な「ズキズキとした強い激痛(拍動痛)」が生じます。
施術中に「痛みが強すぎる」「我慢できないほどの激痛が走った」と感じた場合は、遠慮せずにすぐに医師へ伝えてください。私は施術中、患者様の表情や声かけに対する反応を常に観察し、少しでも痛みの訴えが強い場合は即座に手を止めて確認するよう徹底しています。
皮膚の色が白くなる(蒼白)、または網目状の紫斑(赤紫色)が出る
血流が遮断されると、まず注入部位やその周辺の皮膚から血の気が引き、真っ白に変色(蒼白)します。その後、血流の滞りによって、赤紫色の網目状の模様(網状皮斑)が皮膚表面に浮き上がってきます。
時間が経つにつれて赤黒く変化し、数日後には水ぶくれ(水疱)やニキビに似た膿疱が多発することもあります。内出血との見分けがつきにくい場合もありますが、「広範囲に色が広がっている」「赤紫色から黒っぽくなっている」場合は塞栓を疑うべきです。
視力の異常(かすみ、視野欠損など)
万が一、ヒアルロン酸が眼動脈へ流れてしまった場合、目に関する症状が即座に現れます。
- 視界が急にかすむ・ぼやける
- 視野の一部が欠ける(暗くなる)
- 目の奥に激しい痛みが走る
- 光を感じにくくなる、物が見えなくなる
これらの症状が出た場合は、数分〜数時間単位での処置が必要となる超緊急事態です。
3. 血管塞栓が起きやすい危険な部位

顔のどこに注入してもリスクがゼロになるわけではありませんが、解剖学的に危険な血管が走っている「ハイリスクゾーン」が存在します。
眉間や鼻根部(視神経に繋がる血管が近い)
眉間や鼻根部(鼻筋のトップ)は、ヒアルロン酸注入において最も警戒すべき部位の一つです。ここには眼動脈の枝である「滑車上動脈」や「眼窩上動脈」という重要な血管が、皮膚の浅い層を走っています。これらの血管にヒアルロン酸が入り込むと、ダイレクトに目の奥へと達してしまい、失明を引き起こすリスクが非常に高くなります。シワを伸ばしたい、鼻筋を通したいという人気の部位だからこそ、極めて高い技術と慎重さが求められます。
ほうれい線や鼻翼基部付近
ほうれい線や鼻の脇(貴族手術などでヒアルロン酸を入れる鼻翼基部)も、血管塞栓の好発部位です。このエリアには、口元から小鼻の脇を通って目元へと伸びる「顔面動脈」が走行しています。ほうれい線を浅くしようとして深い層へ一気に注入したり、強い圧力をかけたりすると、動脈に入り込みやすく、小鼻や上唇の皮膚壊死につながる危険性があります。
4. 初期症状が出た場合の緊急対処法

「もし血管塞栓が起きてしまったらどうなるのか」という不安をお持ちの方も多いでしょう。血管塞栓は恐ろしい合併症ですが、万が一発生した場合でも、素早く正確な対応を行えば重症化を防ぎ、きれいに治癒させることが可能です。
直ちにヒアルロニダーゼ(ヒアルロン酸溶解注射)で溶かす
血管塞栓に対する最も確実で効果的な治療法は、ヒアルロン酸を分解・溶解する酵素製剤である「ヒアルロニダーゼ」の注射です。塞栓が疑われる部位とその周辺へ、十分な量のヒアルロニダーゼを即座に注入します。これにより、血管内に詰まったヒアルロン酸を素早く溶かし、塞がっていた血流を再開させます。発症から溶解までの時間が早ければ早いほど、組織へのダメージは最小限で済みます。
患部の温めやマッサージによる血流改善処置
ヒアルロニダーゼの投与と並行して、血流を促す処置を行います。
- 温熱療法・マッサージ:患部を温めて血管を拡張させ、優しくマッサージを行うことでヒアルロン酸の拡散と分解を促します。
- 薬物療法:血管拡張薬の内服や点滴を行い、末梢の血流を改善させます。
少しでも異変を感じたら、すぐにクリニックへ連絡する
施術が終わって帰宅した後に、激痛や皮膚の色の変色に気づくこともあります。「単なる内出血かな?」「様子を見れば治るかも」と自己判断して放置することだけは絶対に避けてください。「痛みがどんどん強くなっている」「色が赤紫色っぽくて怪しい」など、少しでも違和感を覚えたら、すぐに施術を受けたクリニックへ連絡し、診察を受けてください。
他院で受けたヒアルロン酸注入後のトラブルについても、ネビュラクリニックの他院修正・他院抜糸外来でご相談いただけます。
5. 血管塞栓を防ぐためのクリニック・医師の選び方

美容外科医として包み隠さずお話しすると、血管塞栓のリスクを100%完全になくすことは、どれほど高名な医師であっても不可能です。なぜなら、人間の顔の血管走行にはわずかな個人差(解剖学的バリエーション)があるからです。しかし、適切なアプローチと予防策をとることで、その危険性を極限までゼロに近づけることはできます。
安心して施術を受けるために、以下のポイントを重視してクリニックや医師を選んでください。
顔の解剖学(血管の走行)を熟知した医師を選ぶ
ヒアルロン酸注入は、単に「凹んでいるところに打つ」という単純なものではありません。皮膚の厚み、筋肉の動き、そして何より「どの深さにどの血管が走っているか」という立体的な解剖学の知識が不可欠です。
- 形成外科出身の医師や、美容外科での十分な執刀経験がある医師
- 注入前に血管の位置を予測し、安全な層(解剖学的プレーン)を見極めて注入できる医師
- 注入時に必ずシリンジを引いて血液の逆流がないか確認(アスピレーション)する医師
価格の安さだけで選ぶのではなく、医師の経歴や症例数、解剖学への深い理解があるかどうかを確認することが何より大切です。
マイクロカニューレ(先が丸い針)の使用によるリスク軽減
通常の注射針は先端がナイフのように尖っているため、血管を突き刺してしまうリスクがあります。一方、「マイクロカニューレ」と呼ばれる特殊な針は、先端が丸くしなやかで、側面に小さな穴が開いている構造をしています。
先端が丸いため、組織の中を進む際に血管に当たっても傷つけずに受け流すことができ、血管内誤注入のリスクを大幅に低減させることができます。特に額、ほうれい線、涙袋などの施術では、マイクロカニューレの使用を推奨しているクリニックを選ぶのが望ましいでしょう。
6. ネビュラクリニックの安全対策

私たちネビュラクリニックでは、患者様に「理想の美しさ」を提供すると同時に、それ以上に「絶対的な安全」をお届けすることを最優先事項として掲げております。
解剖学に基づいた慎重な注入技術
当クリニックの医師陣は、顔面の三次元的な解剖学熟知はもちろんのこと、血管走行のバリエーションまで考慮した注入アプローチを徹底しています。
- 丁寧なアスピレーションの実施:注入直前には必ずシリンジを引いて血液が戻ってこないかを確認します。
- マイクロカニューレの積極採用:危険部位への施術には、血管を傷つけにくい鈍針(カニューレ)を使用します。
- 少量ずつの低圧注入:強い圧力をかけず、ゆっくりと少量ずつ注入することで、万が一の血管内進入や圧迫を防ぎます。
かつて私が医師として駆け出しだった頃、先輩の指導医から「針の一刺し一刺しに、患者様の人生がかかっていると思え」と厳しく教わりました。その言葉は今も私の胸に刻まれており、どんなに手慣れた施術であっても、一回一回の注入において指先の全神経を集中させて行っています。
万が一のトラブルにも即座に対応できる医療体制とヒアルロニダーゼの常備
安全対策をどれほど徹底していても、医療に「100%絶対」はありません。だからこそネビュラクリニックでは、「万が一」が発生した際にすぐに対応できる体制を完璧に整えています。
すべての処置室には、ヒアルロン酸溶解剤である「ヒアルロニダーゼ」を常に十分な量で常備・管理しています。万が一、施術中に血管塞栓の兆候(異常な痛みや皮膚の蒼白)がみられた場合は、その場で直ちにヒアルロニダーゼを投与し、血流障害をその日のうちに解除できる体制を構築しています。
また、施術後のアフターフォロー体制も整えており、帰宅後に異変を感じた際にも迅速に医師へご相談いただけるバックアップ体制をとっています。
実際の仕上がりはヒアルロン酸注入の症例写真でご確認いただけます。施術の詳細・料金・ダウンタイムは施術ページをご覧ください。
7. まとめ

ヒアルロン酸注入は、正しく行われれば非常にお顔の印象を若々しく、美しく整えることができる素晴らしい美容医療です。しかしその反面、ごく稀に「血管塞栓」という失明や壊死につながるリスクを秘めていることも事実です。
リスクを正しく理解し、万が一のときにどのような初期症状が出るのかを知っておくことは、安心・安全な施術を受けるための大切な第一歩となります。
- 注入中・注入後の激痛
- 皮膚が白くなる、赤紫色の網目模様ができる
- 視界がかすむ、見えにくくなる
このような症状を感じたら、決して放置せず、すぐにクリニックへご相談ください。
ネビュラクリニックでは、解剖学熟知に基づく安全な注入手技と、万が一のトラブルにも即座に対応できる医療体制を整えて患者様をお迎えしております。ヒアルロン酸注入に関するご不安や疑問がございましたら、ぜひ一度当クリニックのカウンセリングへお気軽にお越しください。患者様お一人おひとりの安全と美しさに、責任を持って寄り添わせていただきます。
ヒアルロン酸注入の血管塞栓に関するよくある質問
Q. ヒアルロン酸注入の血管塞栓はどのくらいの確率で起こりますか?
A. 血管塞栓はごく稀な合併症ですが、顔の血管走行には個人差があるため、どれほど経験豊富な医師でもリスクを完全にゼロにすることはできません。解剖学を熟知した医師による安全な層への注入、注入前のアスピレーション(血液の逆流確認)、マイクロカニューレの使用、少量ずつの低圧注入といった予防策で、危険性を極限まで下げることができます。
Q. 内出血と血管塞栓はどう見分ければよいですか?
A. 通常の内出血は注入部位に限られた青紫色のあざで、痛みも軽度です。一方、血管塞栓では注入中〜直後にズキズキとした異常な激痛(拍動痛)が生じ、皮膚が真っ白になった後に赤紫色の網目状の模様(網状皮斑)が広範囲に広がり、時間とともに赤黒く変化します。「広範囲に色が広がっている」「赤紫色から黒っぽくなっている」「痛みが強くなっている」場合は塞栓を疑い、すぐにクリニックへ連絡してください。
Q. 血管塞栓が起きた場合、どのような治療をしますか?
A. 最も確実で効果的な治療は、ヒアルロン酸を分解する酵素製剤「ヒアルロニダーゼ」の注射です。塞栓が疑われる部位とその周辺に十分な量を即座に注入し、詰まったヒアルロン酸を溶かして血流を再開させます。並行して患部の温めやマッサージ、血管拡張薬の内服・点滴などで血流の改善を図ります。発症から溶解までの時間が早いほど、組織へのダメージは最小限で済みます。
Q. 帰宅後に異変に気づいた場合はどうすればよいですか?
A. 「単なる内出血かな」「様子を見れば治るかも」と自己判断して放置することは絶対に避けてください。痛みがどんどん強くなる、皮膚の色が赤紫色で怪しい、視界がかすむなど少しでも違和感があれば、すぐに施術を受けたクリニックへ連絡し、診察を受けてください。ネビュラクリニックでは施術後のアフターフォロー体制を整え、帰宅後の異変にも迅速に医師へご相談いただけます。
ヒアルロン酸注入のご相談はネビュラクリニックへ
ネビュラクリニックは全国8院で、解剖学に基づいた安全なヒアルロン酸注入のカウンセリングを行っています。「リスクが不安で踏み出せない」「他院で受けた注入後の状態が心配」という方も、まずはお気軽にご相談ください。カウンセリングは無料です(診療の流れはこちら)。
※ヒアルロン酸注入は自由診療です。料金・リスク・副作用(腫れ・内出血・痛み・左右差・しこり・感染・アレルギー・血管塞栓による皮膚壊死や視力障害など)の詳細は施術ページをご確認ください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の症状については医師の診察を受けてください。
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岩切琢磨
Takuma Iwakiri
経歴
2016年 熊本大学医学部医学科 卒業
2016年 医療法人財団 荻窪病院
2018年 昭和大学病院 皮膚科学講座
2019年 昭和大学江東豊洲病院 皮膚科
2024年 ネビュラクリニック 東京錦糸町院 院長
所属学会・資格
日本皮膚科学会
日本美容皮膚科学会 正会員
日本美容外科学会(JSAS) 正会員
日本抗加齢医学会 正会員
日本専門医機構認定 皮膚科専門医
ジュビダームビスタ® 認定資格医
ジュビダームビスタ®バイクロス 認定資格医
術集会演題発表歴
| 1. | 岩切琢磨、井藤遥、小野蘭、猿田祐輔、渡辺秀晃、末木博彦(昭和大)、山下太郎、安東由喜夫(熊本大神経内科):結節性皮膚アミロイドーシスの1例.日本皮膚科学会第879回東京地方会(2018.6) |
| 2. | 岩切琢磨、田代康哉、張田修平、岩井信策、渡辺秀晃、末木博彦:好酸球性環状紅斑の1例. 第82回日本皮膚科学会東京支部学術大会(2018.12) |
| 3. | 岩切琢磨、新屋光一朗、北見由季、渡辺秀晃、末木博彦:手指に限局したWells症候群の1例. 日本皮膚科学会第883回東京地方会(2019.2) |
| 4. | 岩切琢磨、石橋智、山内輝夫、永田茂樹:萎縮性皮膚線維腫の1例.第84回日本皮膚科学会東京支部学術大会(2020.11) |
| 5. | 岩切琢磨、山内輝夫、須永知里、永田茂樹:潰瘍性大腸炎の診断に至った下腿の壊疽性膿皮症の1例.日本皮膚科学会第898回東京地方会(2021.10) |
| 6. | 岩切琢磨、山内輝夫、須永知里、永田茂樹:粉瘤嚢腫壁より生じたと考えられた基底細胞癌の1例.日本皮膚科学会第900回東京地方会(2022.2) |
| 7. | 岩切琢磨、山内輝夫、須永知里、永田茂樹:先天性三角形脱毛症の1例.日本皮膚科学会第901回東京地方会(2022.5) |
| 8. | 岩切琢磨、山内輝夫、須永知里、永田茂樹:Gorlin症候群の1例.日本皮膚科学会第902回東京地方会(2022.7) |
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